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これであなたも業界通!? リフォーム価格の内訳

報酬は10〜15%

 皆さん、建築家にどのようなイメージをお持ちですか? あるアンケートによると「設計料が高い」「敷居が高い」「気難しそう」「デザインを押し付けられそう」など。なかでも設計料を気にしている人が多いようです。
 建築家への報酬(設計料+現場監理費)は、建築工事費の10~15%が相場。家はウン千万円もするだけに、この十数%というのは、確かに大きな出費です。では、ハウスメーカーなどの物件はお得かというと、一概にそうとは言い切れない部分があります。例えば販売管理費(広告宣伝費、モデルハウス費、ショールーム費など)が見えない形で上乗せされているからです。
 価格の内訳を、もっと突っ込んで説明しましょう。家の購入価格に対する建築工事費の割合は、建築家が作る場合で75%ぐらい。残り25%は前述した報酬と、税金・印紙代・祭祀費・近隣対策費などの諸費用となります。対してハウスメーカーの建築工事費は全体の60%。もちろんメーカーや物件によって差はあり、相対的な数値なので、高いだの安いだのと論議するのはナンセンスですが、モノを「売るためコスト」はかなり大きいのです。
 建築家に払う設計料は、いわばモノを「創るためのコスト」であり、あなたの要望を満たすために雇ったプロへの報酬です。予算以上の価値を提供しようと努力するのが建築家で、売りたい商品をその価値以上にイメージさせて売るのが広告であったり、営業マンであったりするのです。

第三者による管理が重要

 建築家は家の販売も工事もしません。何をするかといえば、プロとして建物の設計や計画、役所手続き、そして工事に手抜きやミスがないかをチェックする、いわゆる「現場監理」です。設計がいくら完璧でも、図面どおりに施工されなければ欠陥住宅になりうるケースもあるだけに、現場監理はとても重要なことです。
 もちろん、どこの業者であれ、必ず現場管理者がいて家は建てられます。ただ残念なことに、業界の馴れ合い体質というか、形式だけで、実際は工事管理がまともに遂行されていないことが少なくありません。その点からすれば、建築家なら第三者の立場で、工事の過程に目を光らせることができますので、欠陥を防ぐことができます。このあたりの事情をご理解いただければ、建築家への報酬が十数%というのも、俄然、価値が帯びてくるのではないでしょうか。
 もっとも建築家の注文住宅にも注意点はあります。まず工期が長いこと。打ち合わせを何度も重ね、工事も手間がかかります。また、モデルハウスがないので想像しにくく、建築家によって得意分野が違いますので、仕上がりに満足がいかないというリスクがないとは限りません。先鋭的なデザインが好きな人、基本に忠実で保守的な人など、好みは千差万別。中にはやたら巨大なガラスを多用したがる人もいます。
 建築家が創る家は、馴染みのない人にとって近寄りがたいものなのかもしれません。でも、最初の"壁"を超えて中に入れば、そこには今まで知らなかった世界があり、大きな感動が味わうことができるはずです。
 家を「買う」のか「創る」のか。後者であれば、インターネットや雑誌の施工例を参考に、ぜひ一度、建築家の事務所の門を叩いてみるといいでしょう。

「住育」を考えるリフォーム

家族の心を育む

 住育(じゅういく)。一部の教育関係者や建築業界者の間で提唱されている新語だけに、初めて耳にする人も多いと思います。でも、決して新しい考え方ではありません。住まいを通じて家族の心と健康、そして絆を育もう、という考え方です。
 昔はちゃぶ台を囲んで食事をとることで家族の絆が自然と深まっていました。また子供は父親の日曜大工を手伝うことで住まいの手入れ方法を身につけ、おばあちゃんの知恵によってエコな家事を受け継いできました。ふと気づけば、サザエさん一家こそ住育のお手本だったりします。
 ところが今、現状を見てみると、住まいについて学校でも家庭でも学ぶ機会がずいぶん減ってきたように思えます。住まいは、傷んだ建物を補修するといった「住むことに対する知恵」を身に付ける場であると同時に、家族や日本の「歴史と文化」を伝え、成熟した大人になるための「社会常識」を育む大切な場です。「食育」が国レベルで推進されたように、住育の重要性にも目を向ける時期に来ているのではないのでしょうか。

受け継がれる住まい

 リサイクル(Recycle)、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)の3Rを基本とする循環型社会の動きは日本でも活発になっています。しかし、住宅の平均寿命を国別でみてみると、アメリカは約44年、イギリスは約75年、日本は約26年。欧米は2、3世代使えるのに対し、日本は一世代しか持ちません。いや、持たせようとしない、と言うべきでしょうか。
 しかも欧米の住宅は年月を経ても価値が極端に下がらないばかりか、リフォームやメンテナンスにしっかり手をかけることによって資産価値が高まるケースが多々あります。日本もバブル期は資産価値が上がるケースがありましたが、あれは土地の価値が上がっただけです。
 循環型社会を向かえ、私たちは住まいを長く大切に使い、次の世代にも愛着を持って受け継がれていくようにしたい。私は亡きおじいちゃんが建てた築70年の家に住んでいますが、建て替えたいとはとても思えません。大事な歴史を刻んだ住まいです。
 数年前、旦那さんはフランス人、奥さんは日本人というお宅に招かれました。奥さんが「寒いからストーブをつけるよ」と言った時、旦那さんは「ノン」。寒かったら一枚着ればいい、と言うのです。私はハッとしました。そうなんです、寒かったら服を重ねればいいし、暑ければ窓を開けて風を通せばいいのです。その考え方は、他の国の人に言われるまでもなく、誰もが持っている常識でもあるはずです。
 「住育」は難しい話ではないのです。まずは家族みんなで家の手入れや掃除の担当を決めることから始めてはいかがでしょう。夏には南北の窓を開けて風を通すことをお子さんに教えてみてはいかがでしょう。反発されてもそこで対話のきっかけが生まれます。
 知育・徳育・体育の3つを教育と言うそうですが、家庭ではこれに加えて食育と住育についても意識して日々生活されることを願います。

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