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ヒビ割れご用心、外観リフォーム

モルタル人気が上昇

 日射や雨風などから住まいを守る外壁と屋根。最近は酸性雨や紫外線の増加で、より厳しい自然環境にさらされ、劣化は避けられません。一見、キレイであっても、細かいヒビ割れが発生していれば、そこから水が入って下地の板が腐るということも。クルマに定期点検があるよう、住宅にも定期的なメンテナンスは必須。10年を目安に早めの点検をお勧めします。
 特に屋根は家の寿命を大きく左右させます。屋根の素材は、金属、スレート瓦など。瓦ひとつを例に挙げても、いぶし瓦、陶器瓦、塩焼き瓦があり、そのバリエーションは皆さんが思っている以上に多彩です。最近増えているのはガルバリウム鋼板という金属。やや高価ですが、非常に優れた耐久性と耐食性があります。
 外壁のバリエーションは屋根以上に豊富です。分譲住宅などで最もポピュラーなのは「サイディング」というもの。ボード状の外壁材で、工場生産のため品質は均一、価格もリーズナブル。タイル風、石積み風など、パっと見ただけでは本物と区別できないような風合いを持つ商品もあり、工期が短いのも魅力のひとつ。厚さは15mmが標準クラスで、この厚さによって価格が変動します。次に人気なのが「モルタル」。セメントと砂と水を混ぜ合わせたものがモルタルで、外壁にコテで塗っていきます。職人の手仕事による独特の味わいに加え、タイルやレンガとコーディネートするとお洒落。より個性的な表現ができるので、個人的にもお勧めです。また、健康・環境への関心の高まりから、珪藻土や漆喰など自然素材の塗り壁も増えています。

15年が目安

 外壁の色にもトレンドというものがあり、ここ数年の傾向としては、まず明るい色。ベージュ系やホワイト系など、自然に溶け込むような雰囲気が好まれているようです。それとは対照的にシャープなメタリック人気も高まっており、都市型のモダンスタイルの家にはぴったり。異なる色や素材を組み合わせるのも最近の流れです。
 一般に日本の住宅の寿命(建て替えサイクル)は1世代30年と言われていますので、その中間時期にあたる15年程度で全面補修を検討したいところです。塗料は基本的に耐用年数が長いほど高価になりますが、実際の工事では足場を組んで養生したり、下地の補修をしたりと、材料費より人件費のほうが高くなるので、長い目でみると、高品質の塗料を選んだ方がお得です。
 屋根・外壁を選ぶ際、小さな見本帳からだけで選ぶと「イメージと違う」といった失敗になりかねません。外壁の面積は非常に大きいので、実際に仕上がってみると、見本帳で選んだ色より明るく感じるものです。ショールームに出かけるなどして、できるだけ大きな見本で確認してください。
 住宅は、そこに住む人の要望や好みによってプランがまるで違い、個性が表れます。しかもコミュニケーションを深めることで、依頼主の要望が一変することも。以前、ログハウスを希望された方といろいろ話をする中で、この人はクールな雰囲気の方が合っていると感じたので、正反対のコンクリート打ちっ放しのプランを提案しました。そうしたら見事的中、依頼主は大いに気に入って、家づくりに積極的になっていただきました。やはり家づくりには信頼関係を築く会話こそ不可欠だと考えています。

リフォームの制約条件を知る

間取り変更の自由度

 細かく区切られた部屋をつなげてワンルームにしたり、増築して住まいを広げたり......でもリフォームには住宅の構造によって、できることと、できないことがあります。
 一戸建ての場合、リフォームによる制約条件はマンションと比べて少なめです。間取り変更の自由度が高く、キッチンの移動やトイレの増設、オール電化にすることも容易。ただ、その際、構造面への影響を考えなくてはなりません。住宅の構造にはいくつかの種類があり、それによってリフォームの自由度が変わってくるのです。
 住宅の構造は主に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3つ。さらに細分化すると木造は「木造軸組(じくぐみ)工法」と「2×4(ツーバイフォー)工法」、RC造は「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。
 これらの中でリフォームの自由度が高いのは、柱と梁で建物を支える木造軸組工法とラーメン構造。壁を撤去しやすいため、大掛かりな間取り変更ができます。次に鉄骨造。基本的に木造軸組工法と同じ構造なので、リフォームの制約もほぼ同じと考えていいでしょう。
 2×4工法と壁式構造は、壁と床で建物を支える工法のため、ほとんどの壁は動かせず、大きな窓を埋め込むことも困難です。

マンションは管理規約も確認

 マンションは「区別所有法」により、個人の所有権が確立している「専有部分」と各住戸の全員で所有する「共有部分」があります。リフォームできるのは専有部分だけで、一般的には玄関内側から部屋の内部、バルコニーの手前まで。バルコニーとサッシは共用部分なので、もし勝手に手を加えると、あとで元に戻さなければならないので注意してください。
 マンションで特に制約を受けるのが水回りです。ほとんどの場合、給排水管と排気口の位置を動かすことはせきません。そのため、間取りを変えずに設備だけを入れ替えるケースが多いようです。
 住宅には、建築基準法をはじめさまざまな規制があります。当然リフォームも例外ではありません。かりに敷地いっぱいに増築しようと思っても、建築面積の上限は敷地ごとに決められた建ぺい率によって制限を受けています。例えば100㎡の敷地で建ぺい率が60%なら、増築後の面積は60㎡が限度。建ぺい率は規制改正によって新築当時のものから変わっている場合もあります。
 ここ数年、デザイナーズ住宅がブームとあって、建築家にも注目が集まるようになりました。僕たち建築家にとっては喜ばしいことなのですが、仕事自体に華やかさはありません。前述したテクニカル的な制約に加え、施主の方から言葉で言い表しにくい潜在的な要望を掘り起こして、コツコツと形にしていかなくては、本当の意味での満足は提供できないのです。予算という制約もあります。そのためには、密なるコミュニケーションはもとより、こちら側の創造力とアイデアの豊かさが求められます。「満足」だけでなく「感動」もしていただけるプランを僕は目指しています。

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